更地や、今は住んでいない古家付き土地を所有している、または親が所有しているが住んでいない、または仕事が忙しく時間がないなどの理由で管理を怠ってそのまま放置してしまっている…そういう方はいませんか。
土地を利用して何かを始めようとしても、費用がかかるから断念、手続きが面倒だから放置。そういった理由でそのままにしてしまっている土地や建物には、実は思ったよりも維持費用がかかってしまっています。そう考えると、やはり土地は活用したいところですよね。
今回は数ある活用方法の中でも、月極駐車場にスポットを当ててお話をします。
駐車場経営を始めるにあたって
駐車場経営を始めようと思うきっかけとは、どんなことでしょうか。
・親の家(実家)が古家で解体工事を検討している
・家族の名義の空き地がある
・相続で土地が舞い込んでくる
・持ち家の敷地が広く一部を活用したい
・お金を生みたい
・兄弟で土地を共有しているが、何かを建てる計画はない
・飛び地に土地を所有している
などなど。理由はいくらでもあるでしょう。
たくさんある土地活用の方法の中でも、月極駐車場は一般的にローコスト・ローリスクといわれています。始めるまでのハードルは低く感じますが、その分利益が出るのかといったところは気になる点ですよね。収入と支出のバランスを保てなくなることが失敗の要因となります。
税金は納付するのは当たり前です。国民の義務なので、課税されたものに対しては、きちんと納付しなければなりません。しかし、その課税される税金の減免に対してはどのくらいの人が理解していて、活用しているのでしょうか。免除されるものがあるのなら、してもらうに越したことはありませんよね。
減免するための条件なども押さえていきましょう。
駐車場にするメリット
利益が出る
一番に思い浮かぶのは利益です。いくら税金が課せられたとしてもその税金を上回る収益があれば問題ありません。
とはいえ、周りの相場もありますし、近隣の状況も考えなければならないでしょう。それで実際に利益は出るのかというと、答えは出るところには出るというしかありませんが、それが試算したうえでの結果で判断していれば、リスクも最小限に抑えることができるはずです。
ローコストである
極端に言ってしまうと、土地に区切りロープを張り、番号を付けてしまえばその日からでも月極駐車場を始められます。ですが、そこはもう少し経営戦略を練ったうえで始めるとしましょう。
月極駐車場のもつ特徴の一つに、近隣住民に周知されればよいといった側面があります。
そのために大きな看板や電光掲示板のようなものは不要ですし、ましてや広告なども全く必要がありません。したがって始めるにあたっての費用をとことん抑えることができるのが、この月極駐車場です。
ローリスクである
前項でもお話ししたように、ローコストに抑えることによって、万が一失敗したときにも大きな損失を出さなくてよいといった点もメリットといえます。設備投資には最低限のものでまかない、利益が出てきてから少しずつそろえるという方法もよいでしょう。
営業開始までの時間が短い
設備を配置するのにコストをかければかけるほど、その分の工程も増えるので、営業開始のタイミングが後にずれ込んできます。たとえば1~2週間程度で営業開始をするのと、1ヶ月以上かかってしまうのとでは大きな差になってしまうでしょう。
撤去に時間がかからない、撤去費用が少ない
月極駐車場を始めるための最低限度の設備なら、撤去する時間も費用も比較的少なくて済みます。始めるときも辞めるときもローコストなのです。
さらにお金も貯まって次へのステップに何かを考えているのであれば、その資金としても運用できます。そういった暫定的な活用方法としても便利といえるでしょう。
駐車場経営で節税
相続税に対しての対策として、小規模宅地等の特例というものがあります。
小規模宅地等の特例「貸付事業用宅地」
更地にロープ、車止めを置いた程度の駐車場での経営では、固定資産税の評価額は自用地とされ、おそらく減免は望めないでしょう。小規模宅地等の特例において、貸付事業用宅地の固定資産税の評価額のうち50パーセントが減額の適用になるのは条件が必要です。
・土地の上に建物または、構築物があること。
・貸駐車場が相当な対価を得て継続的に行われていること
これらが適用の要件となっています。したがって、前述したような更地にロープ、車止めを置いた程度の駐車場では難しいのです。
小規模宅地等の特例「貸付事業用宅地」の適用基準
たとえば、ロープを張っただけ、車止めを置いているだけの駐車場では、構築物のない青空駐車場です。
上の2点の条件を満たすには、経営しているほかに土地の上に構築物がなければなりません。
そのためにはアスファルト舗装が効果的です。アスファルト舗装は、その土地の上に敷き詰められて締め固めるので、構築物とみなされるのです。
砂利や芝生などは、構築物といえるかの線引きは非常に難しいですが、具体的には駐車場を経営するにあたっての費用をしっかりとかけていて、継続して相当な対価を得ている状態、つまりは今すぐ売却や、違う形での運用が難しいと判断された状態にはなります。
今すぐ売ったり買ったりするわけでも相続や贈与をするわけでもないにしても、アスファルト舗装はしておいてもいいでしょう。先に訪れる相続時の対策となります。
固定資産税
これについては、駐車場単体では更地同様に土地の評価額の減額はありません。
アパートやマンションなどと一体利用といった形での経営となると、固定資産税にも都市計画税にも減額される特例があります。
駐車場にするデメリット
税金に対する措置が少ないこと
駐車場は住宅用地ではなく更地扱いのため、固定資産税や都市計画税なら建物が建っている間の減額の措置がありますが、残念ながら駐車場にはありません。
借地権割合や借家権割合などもありませんので、不動産としての評価が下がらないのです。しかし、従来は構築物として償却資産税の対象で扱われていましたが、自治体によっては建物と見なし、固定資産税の対象として扱われていることもあります。
ニーズによって左右される
駐車場経営で利益を出すには、優先として儲かる場所であることがあげられます。
いくら初期費用を抑えたとしても、契約台数が少なく、収益が少なければ赤字になります。
コインパーキングのような一時的な利用ではなく、長期にわたり利用されるものなので長期利用を求める人が多く集まる場所を選ぶのがポイントです。
駐車しやすい駐車場であること
オーナーとしては土地を最大限に有効に使いたくなるでしょう。設備投資も最低限に抑えたくなるのが心情です。
しかし、その選択がお金を出して契約をしてくれるお客さんのニーズに合ったプランでしょうか。たとえば、同じ料金設定で同じエリアに違う駐車場があったとして、利用しやすいものであった場合どちらを選ぶでしょうか。
自分で入出庫などをしてみて、利用者の目線で確認をしてみるのもいいでしょう。
まとめ
月極駐車場における経営とは、目の前の収益と支出だけではなく、もっと総合的な側面から見る必要があると言えます。何もしないよりは、たとえ少なくとも、何かをしている方がいいでしょう。何もしないと収益はない上に、税金は納付しなければならないし、荒地にでもなってしまうと近隣からの苦情まで来てしまいます。土地の有効活用としては、何かしらを講じておくべきだと考えられます。