土地にかかる税金の種類は多く、土地を買ったときや売ったときに発生する税金から、所有しているだけでかかるものです。もらったときにかかる税金や相続の対象となったときの税金まで。今の日本ではありとあらゆるときに税金を課せられています。
今回は、税金を種類ごとに分類して、説明していきます。
土地にかかる税金の種類
土地を購入、あるいは売却する時に発生する税金
印紙税
印紙税とは、契約書や受領書を作成したときに必要な税金です。契約した金額に応じて収入印紙を購入し、貼り付けることで納付する税金です。
一体なぜ印紙税というものが国に徴収され、支払わなければならないのか。それは一定の契約を文書化(課税文書)して国が発行している収入印紙を貼り付けることによって、文章に書かれた取引は変更することを難しくするからです。それによって国が契約取引の安定に貢献すると言われています。
簡単に言えば、お金のやりとりをする際に、文章を作ってしっかりと大切なことを明記していればお互いに信頼もできるし、安心した取引になる。そしてそれは文章だけではなく、その背景にある法律でもって支えているのだから、少しの税金を払ってねといったもの。
ちなみに印紙税である収入印紙を貼らないと過怠税というものが課せられます。過怠税は納付しなかった印紙税の2倍の額で、その過怠税と本来支払わなければならなかった印紙税とで3倍の金額を支払わなければなりません。
登録免許税
土地を購入する際には、土地の購入者の所有権を移転し登記します。これは法務局(登記所)にある登記簿に土地や建物の所有権を記録して公示するための手続きです。
簡単に言ってしまうと、「この不動産は私が所有しているものです」ということを対外的に示すというわけです。土地や建物の購入や売却時に所有者が変わると、新たに変更登録をする必要があり、そのために登録免許税が必要となります。主に買主が負担する税金です。
土地や中古物件は自分が購入する前に必ず他の誰かの所有物ですので、当然その方の名義が設定されています。新築の住宅には所有者がいないので、こちらに対しても登録は必要です。変更や新規の登録の際にかかる税金と覚えておきましょう。
もう一つ、登録免許税は金融機関から住宅ローンを借りるときにも課税されます。住宅ローンを融資する金融機関が土地や建物に抵当権を設定するからです。
抵当権とは、土地や建物に担保を設定し、万が一返済が滞った時には差し押さえられ、競売にかけて貸したお金を回収できる権利のことです。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、土地や建物を売却した際に発生した利益により必要となる税金です。確定申告後に売主が支払います。
こちらの税金は、復興所得税を含む所得税の合算です。
譲渡所得とは、当時物件を買った費用など(取得費)と売却時の諸費用など(譲渡費用)を足した額から、今回物件を売った金額など(譲渡収入額)を差し引いた額を指します。
物件を売った金額など(譲渡収入額)は、不動産を売却したお金と固定資産税や都市計画税などの清算金を合わせた金額のことです。
物件を買った費用(取得費)とは、売却した不動産の、購入したときの代金とその諸費用を合算した金額のことをいいます。ただし、不動産の購入から売却まで年数が経過しているため、「減価償却費」を差し引かなければなりません。
減価償却費は、経年劣化によって下がった建物の価値(減価償却)を表す費用です。つまり、この場合の取得費というのは、購入代金と諸費用の合算から減価償却費を差し引いた額ということになります。
こちらの税金は2種類の税率が設けられており、取得から5年未満の短期譲渡所得の税率は39.63パーセント、取得してから5年以上経過している長期譲渡所得の場合の税率は20.315パーセントとなっています。
短期・長期ともに2037年までの所得税に対しては2.1パーセントの復興特別所得が加わります。
住民税
譲渡所得税同様に、土地や建物を売却した際に出た利益に課税されます。こちらも確定申告後に売主が納付する税金です。
土地を所有しているとかかる税金
固定資産税
固定資産税は1月1日現在で土地や家屋、償却資産を所有している人に対して、その土地が所在する市町村が毎年かける税金です。
税額は、土地と家屋の固定資産税評価額をもとに算定されます。毎年5月~6月頃に市町村から土地の所有者に対して納税通知書が送られ、それに記載された税額を所有者が一括または分割で納めます。
ちなみに、相続税や贈与税など「申告納税方式」の税金は、税金を払う側が法律に従って財産を評価して税金を払いますが、固定資産税や都市計画税は「賦課課税方式」と言い、税金を徴収する側が評価額や税金を計算して、納税通知書を送ってきます。
土地の固定資産税は更地の場合と建物がある場合とでは税率が変わってきます。
駐車場における設備にかかる償却資産税も固定資産税同様に課税されるのです。
設備取得から1年目までの償却資産税評価額は、その設備取得費から70から90パーセントをかけて算出します。しかし、償却資産は年数が経つにつれて評価が下がってくることを前提としている資産なので、毎年わずかずつ評価が目減りしていき、最終的には設備の取得費の5パーセントにまで下がります。
更地の場合は土地の課税評価額の1.4パーセントが課税されますが、建物が建っている場合は住宅1戸当たり200平方メートルまでの部分は土地の課税評価額の1/6、200平方メートルを超える部分は1/3まで減税されます。
都市計画税
都市計画税も同じく市町村がかける税金ですが、こちらは原則として市街化区域内の土地・家屋だけにかかります。
大まかな税金の話をしました。実際に駐車場を経営するとなると、主に固定資産税、あと地域にもよりますが、都市計画税とがかかってくるのですが、土地以外の部分の設備にも固定資産税は掛かってきます。
減税
駐車場の経営をするにあたっての具体的な減税策方法は、小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等50パーセント評価減)の活用でしょう。小規模宅地等の特例というと、建物が建っていなければならないと思っている方もいるかもしれません。しかし、実際に小規模宅地等の特例を受ける条件としては次のようなものがあります。
・土地の上に建物または、構築物があること。
・貸駐車場が相当な対価を得て継続的に行われていること。
というものがあります。これが当てはめられると適用されますので、しっかりと押さえておくべきです、なお、200平方メートルを超える部分については該当しません。
適用される具体例として紹介します。
アスファルト舗装の駐車場
小規模宅地等の特例として、土地の上に建物または構築物がなければなりません。構築物の代表的なものが「アスファルト舗装」です。
アスファルト舗装の駐車場は土地の上にしっかりとアスファルトが敷均されているので、構築物として認められています。そして当面の間駐車場として運用される仕様となるので、この場合は小規模宅地等の特例に該当し、50パーセントの減額が適用されます。
しっかりとした砂利敷きの駐車場
砂利敷きもしっかりと敷き詰められた構築物と認められています。こちらは注意点があり、「しっかりと敷き詰められた」砂利敷きでなければなりません。敷均してから何年も経過し、土地に砂利などがうまり、表面が雨でぬかるんでしまうようなものは、認められない場合があります。
コインパーキング
コインパーキングなどでの駐車場では、土地の所有者がコインパーキング業者に土地を貸し、その上にアスファルト舗装や看板や精算機などの設置を行っているので、この場合も問題なく小規模宅地等の特例を受けることができます。
まとめ
固定資産税というものは、課税対象の不動産の評価価値に対して課税されている税金です。
課税対象の不動産の評価が下がれば課税額も下がります。建物を建てたり構築物があったり、そこで商売をしている、あるいは誰かが住んでいるなど。すぐに売却などができないものには逆にいうと評価は下がるということなのです。それを利用して節税をするのが賢い方法といえます。